2017年2月22日水曜日

コーヒーが冷めないうちに を読みました 20170222



コーヒーが冷めないうちに』を読みました。
久しぶりに本の感想を書いてみようと思います。

1.きっかけ
この本を知ったきっかけは、2017年対象にノミネートされていたこと及び知人にすすめられたことから購入を決めました。
個人的には人から紹介された本は相手のことを知るためにも読むことにしています。

2.紹介
タイムスリップをすることができる喫茶店『フニクリフリクラ』を舞台に展開されるコーヒーが冷めないうちには下記4編の短編から構成されています。
第1話「恋人」結婚を考えていた彼氏と別れた女の話第2話「夫婦」記憶が消えていく男と看護師の話第3話「姉妹」家出した姉とよく食べる妹の話第4話「親子」この喫茶店で働く妊婦の話
3.感想
『タイムスリップできるのはコーヒーが冷めるまで』の設定は読者に対し、本を手に取らせるに十分興味を沸かせると思います(私自身はこの設定に惹かれ、著者が意図していたかはわかりませんが、『冷めたコーヒーの定義とは』と考え購入するきっかけの一つとなりました。)。
4編に共通する事項としては、『現在以外のある時点に対する後悔』が挙げられると思います。
夢を追い海外に行った彼氏の気持ちを知りたい、
寡黙なアルツハイマーの夫が自分(妻)のことを忘却してしまう前の気持ちを知りたい、
慕ってくれていたのに粗末に扱っていた今は亡き妹の気持ちを知りたい、
自身の命と引き換えに出産することとなる娘の気持ちを知りたい。

しかし、小説といえども甘くなく、タイムスリップのルールとして下記が定められています。
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない
2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる
その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、
そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
特に『2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない』は強力な制約であり、一見、現実が何も変わらないのであるならば過去に行く意味はないのではないかと思ってしまいます。
しかし、著者は本制約に対して、過去に戻り自身が変わることで現在、未来を変えていけると帰結しています。
世の中、何事も心の持ちようということでしょう。

読みながら似たような設定の2014年に放送されていたドラマ『素敵な選TAXI』を思い出していました。こちらは過去の選択で現在を変えていましたね。

短編で感情移入が難しくはありましたが2,3,4話で泣けました。

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